OpenSocialの可能性
GoogleのOpenSocialについて、一昨日、会社でもサロン風に議論しました。そこでもかなり様々な意見や議論が出たのですが、先ほど、3日のOpenSocial説明会関連の記事を通読して、一点、言及しておくべき点に気づきました。
同氏(Google社デベロッパーアドボゲートのChris Schalk氏)はまた、「Open Socialのキーエリアはインフラ的な部分。バリアを取り除くだけ」と語る。つまり、インフラ部分のAPI共通化することで、各SNSは独自色のあるサービス開発に注力できるというわけだ。
Open SocialはSNSに何をもたらすのか--グーグルがその可能性を語る:ニュース - CNET Japan
「バリアを取り除く」という言葉の真意は何でしょう?
現在のところ、SNSは既得ユーザー数が非常に大きな競争力の源泉でした。招待制が一般的なSNSで、成長機会はユーザー数に応じて幾何級数的に伸びます。ユーザーにとっての利便性は、機能以上にどれだけの友達がそのSNS内にいるかが左右します。これは囲い込み戦略が非常にうまく働く世界です。
Googleが取り除くバリアとは、この「囲い込み」という言葉の「囲い」です。ソーシャルグラフの世界において、ユーザー数が生んだ競争力をいちど無にしてしまおうよ、という提案をしているわけです。
誤解を恐れず言い切れば、OpenSocialの本質は「ソーシャルグラフが次のプラットフォームになる」ということである。もちろん、その手前でのオープン論やAttention論も無意味ではないのだが。
そこではプレイヤーとしてのGoogleの存在感はあくまで提唱者としての位置だし、TCP/IPの開発者V・サーフ氏がGoogleに在籍しています、という事実なんかとおよそ等価なものくらいでしかない。
Googleのソーシャルグラフ戦略 | 近江商人JINBLOG
OpenSocialの本質について、この記事を読んでなるほどと頷きました。そしてGoogle自身にとっての提案の価値も、実のところ会社でのディスカッションで「Facebookへの対抗として、OpenSocial陣営を作ろうとしている」という意見に「そうかもしれない、でも効果は疑わしいな」と、同様に考えていました。しかし今、プレイヤーとしてのGoogleにとって、OpenSocialの提案がもたらすものは、私はもっと別な意味を持つ、大きなものではないかと思います。
OpenSocialという提案は、ソーシャルグラフの世界でもっとも大きい競争力の源泉であった「ユーザー数」を、それほど重要ではないものにしてしまい兼ねません。独自性を、ユーザー数より圧倒的に重要な競争力にしてしまい兼ねません。短期的には、これはソーシャルグラフの世界での競争のルールを変えるのです。そしてルールが変わった時に、既存の勢力図は白紙に戻りすらするのです。
それが、Googleの競争力だけを目的としたものだとは断じません。むしろ勢力図が出来上がって身動きの取れない現状と、オープンなソーシャルグラフという理想像の断絶を感じて、“破壊者”として大鉈を振るおうとしているのだという方がGoogle的かもしれません。
もちろん、「競争ルールを変える」という想像からして、うがち過ぎや邪推かも知れません。しかし、もしこの想像が正しかった場合、この分野にいる人はすごく面白いタイミングを迎えようとしているのだと思います。例えば国内トップであるmixiは、現在の競技場での勝ち組でありながら、それを白紙に戻してしまう新しい競技場に歩を進めると決めたことになります。これはどれほど大変な決意だったでしょう。
今、私には分からないことが多すぎて、この話をまとめることができません。しかしこれまで単なるAPIの提案だと思っていたOpenSocialの可能性に、今ようやく、わくわくし始めています。本当に何が起こるのか、すごく、わくわくし始めています。