IBMのdeveloperWorksに「企業ウィキにシグネチャを」という記事3本を寄稿しました。長すぎるので3本に分割、でも話が分かれていな過ぎるので一挙掲載、というわがままを聞いていただき、昨日まとめて公開されました。
本日、下記の企業内 Wiki に焦点を当ててシグネチャの重要性を説いた日本独自記事3本を公開しました。
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 1 回 ウィキサイトの規模不足を考える
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 2 回 シグネチャによるウィキへの参加動機の強化
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 3 回 企業内ウィキでのシグネチャの役割
第1回では、一般的なウィキサイトの規模感と、規模の必要性、特にコンテンツ量とコンテンツ作成・更新への参加者数の必要性を説明します。続く第2回では、一般的なウィキへの参加動機を探り、参加動機の強化のためにシグネチャの明示を導入することを提案します。最後に第3回では、企業内ウィキに焦点をあててシグネチャの必要性を再確認し、同時に参加動機付けの他にもシグネチャを導入することに価値があることを見ていきます。
(「企業内ウィキにシグネチャを」シリーズの公開 - developerWorks Japan 編集長のブログ)
まず今回の恩人にお礼を。「Wikiばな」スターターのshinoさんは今回、「明後日までに50KBのテキストを読んでコメントくれる人」という私の無茶な呼びかけに答えてくれ、非常に文章をきれいにしてくれました。もし今回の文章が読みやすかったとすれば、shinoさんのリライトのおかげです。
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それからこの記事に至るまでの3年ほどについて。
2007年8月にenNetforumで講演をし、その資料を公開しましたが、その際に「社内Wikiについては昨年の春から検討をはじめて、早1年半になります」と書きました。実を言えば2006年春に、技術評論社さんから企業ウィキについての本という企画をいただいたのですが、Wikiプログラマの私には「社員にとってのウィキ」は書け、「IT管理者にとってのウィキ」は1年かけてなんとかまとめてここまでを講演で発表しました。
しかし、それでも「企業にとってのウィキ」は理解できないまま、筆を進められませんでした。ここのギャップは「使いたい人だけが使いたいように使うウィキ」「使いたい人には使わせてあげるウィキ」という許容、放任から「ウィキを使う動機付けをする」「ウィキから創発を導き出す」といった推奨、活用へ、ウィキ提供者が積極的な意思を持つことにあるのだと思います。そして私にそちら側の視点を想像することもできなかったのだと思います。
その後Wiki小話で意見を聴き、直前のBusiness Blog & SNS World '07、特にIBMの森島氏の講演(今回資料の一部を転載させてもらいました)、みずほ情報総研の佐藤氏の講演などを入口にEnterprise 2.0というテーマについて勉強をはじめ、動機付けという一面についてwikipedia.silube.comというサイトを作ってみたりこうして文章を発表したリ、というところにたどりつきました。やっと、再スタートを切れたという感じです。
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「企業ウィキ」というのは、十分に大きく、エキサイティングで、最後まで考え抜きたいテーマです。企画は賞味期限切れにしてしまったと思い、それについては申し訳ない思いでいっぱいなのですが、このテーマを与えてくれた技術評論社の馮さんにも感謝を。
そしてBBSNS07開催者、講演者、WikiばなやWiki小話参加者、enNetforumフォーラム(現EGMフォーラム)各位、2006年~2007年当時に取材をさせてくださった各社の方々、Enterprise2.0の実地を与えてくれたOKIのCrossba(立ち上げから今日までの)関係者各位にも感謝を。
本当に、ありがとうございました。
Web 2.0コンサルタントDion HinchcliffeによるEnterprise 2.0の2007年の修正コンセプトを、彼のZDNet.comブログのエントリ「The state of Enterprise 2.0 | Enterprise Web 2.0 | ZDNet.com」で見つけた。2007年11月とかなり前の話だが、ググってみても日本語でSLATESを説明している記事などは見つかるが、FLATNESSESを取り上げているものは見つからなかったので紹介しておく。
本文中にあるように、Andrew McAffeeがEnterprise 2.0を提唱した際の論文「Enterprise 2.0: The Dawn of Emergent Collaboration」で、彼は「知的労働者の行動とアウトプットを可視化するためのプラットフォーム」をEnterprise 2.0と命名し、このプラットフォームが担うべき機能として、SLATESというコンセプトを掲げた。これは以下の頭文字をつなげたものだ。
- Search(検索)
- Link(リンク)
- Authoring(文書化、発表)
- Tagging(タグ付け、分類)
- Extensions(拡張、たとえばリコメンドなどを介してによって他者の思考や活動を刺激する)
- Signals(通知、RSSフィードなど)
私が「Enterprise 2.0 : 社内Wikiの目的」に入れた図は、これが機能する一連の流れの、一パターンを想定したものだ。2007年8月のプレゼンを聞いてくれた人は、この図の隠れているオレンジの丸にSLATESの各単語があったことを覚えているかも知れない。2007年11月のHinchcliffeのブログエントリでは、この6つ(※)に以下の4つを追加して、FLATNESSESという改定案にまとめられている。
- Freeform(非定形)
- Network-oriented(ネットワーク指向、ウェブベースであることと、再利用可能でアドレス(URLなど)で指し示せる小片指向であることの2つを指す)
- Social(ソーシャル、非階層的で透明性の高いもの)
- Emergence(創発)
非定形であることについては、グループウェアとのすみわけを考える上で、常に意識にあった。ツールとしてのウィキ(しばしば一人ウィキ)を使う理由は、しばしばここにある。グループウェアのようなWell-formedなツールにそぐわない情報の受け皿、あるいはWell-formedなツールを作るためのプロトタイピングとして、ウィキは有用だ。創発は、最近のこうした分野の話ではしばしば取り上げられる注目の話題でもある。Network-orientedであることの必要性はウェブユーザの多くは自然に頷けるだろうし、Socialとあわせて「言わずもがなだけど、あえて指摘するのも悪くない」と思う。
つまり、私個人としては、総じて「SLATES」の修正版である「FLATNESSES」をEnterprise 2.0のコンセプトとして受け入れるのに異論はない。ただ会話中に時々、SLATESですら各要素が何だったかを思い出せなくて困る(特にExtension)。FLATNESSESとなると、そんなことがますます増えそうなのは心配だ。
※AuthoringがAuthorshipと改められているが、ここでは同等のものとみなした。
Confluenceの開発元であるAtlassian社の共同創設者兼CEO、Mike Cannon-Brookesによる「Organisational Wiki Adoption」を、同氏の承諾の元に和訳しSlideShareで公開しました。ブログエントリの日付は2007年10月になっていますが、編集用にKeynoteファイルをもらったら表紙がこう変わっていたので、この内容で2008年5月にも講演しているのですね。
「企業内ウィキはウィキペディアではない」はずっと僕の考えていたことでもあります。少なくとも、最初から企業内ウィキペディアをイメージして導入しようとすると、成功率は著しく低いように感じます。
じゃあ企業内ウィキとは何かというと、Mikeいわく「パブリッシングではなくコラボレーション、百科事典ではなくツール」とのこと。僕自身は、現状としてMikeの説を受け入れつつ、将来像としてウィキペディアを夢見ることができないか、悩んでいるというのが昨年来の話。
このエントリを読んでくれる人の意見がどちらか分かりませんが、Mikeのスライドは分かりやすくて役に立つと思うし、これに沿って企業内ウィキを試みてみるにも、これに反論するところから考えを深めるにも、良いスタート地点になると思います。