WikiPatternの一つ、「Wikiの小人」を日本語訳しました。原文は「WikiGnome」です。「小人さん」とも呼ばれるWikiの小人は、既存コンテンツの細々とした改善に活躍してくれる、しばしば匿名の人たちのことです。
WikiPatternsでは、形式の改善にフォーカスしたWikiZenマスターと内容の改善にフォーカスしたWikiの小人、あるページ(群)に対して責任を持とうとするメンテナーとそうした重み/重しのないWikiの小人、Wikiに体系化をもたらすチャンピオンと体系の維持に寄与するWikiの小人というように、一般に「小人さん」と総称されている役割を、個別に呼び分けているようです。
これは何?
Wikiの小人(WikiGnome)は総合的な品質を絶えず向上させるための小さな編集をwikiに実行する人です。
(Wikiの小人はしばしばWikiGardenerとしても知られています)
彼らの編集は他のみんなのコンテンツの価値を高めてくれるので、Wikiの小人はWikiの成功にとって重要です。例えば:
- 体裁を整える編集によってwikiを「雑草」(タイポ、綴りの間違い、文と段落の構造化が不十分)がはびこることから守ります。
- リンクの追加や修正をし、wiki内で確実に関連コンテントにナビゲートできるようにします。
- 内容の流れと明快さを改善し、文章の読みやすさを改善します。
- 例を設置することで、他のユーザーにいつ、どのようにwikiを使うべきかを示します。
使い方
Wikiの小人には自分で選択してなる傾向があります。彼らは細部への心遣いを大事だと思い、乱雑さに気分を害しており、継続的にwikiの品質を高めるのに必要な小さな編集を行おうとする人たちです。
ではもし彼らを見つけ出すことができなければ、どうやって小人さん的な振舞いを増やせるでしょうか?
- 誰かが小さな、体裁を良くする編集をしているのを見かけた時は - 彼らを後押しします。
- 誰かがあなたの小さな間違いについてemailで教えてくれたら - 彼ら自身で直す方法を見せます。
- あなたのwiki上で、ページの編集方法が明白になっているか、確かめます。
- あなたの周りの人たちに、だれがどのページを編集(追記)することにもバリアはないと確実に理解させます。(Wikipediaでは「大胆であれ(Be Bold)」というマントラで示されています)
彼らは、Wikiのトロル(巨人)とは正反対です。Wikiのトロルは、一般に強い物議を醸すようなコンテントを投稿したり破壊的なこと、例えば誰かの編集を削除するといったことを行ってコミュニティからの反応を得ようとします。これは、ユーザーが匿名ではなく、ユーザーと彼らの編集が関連付けられている環境ではめったに起こりません。
例
もしあなたが組織の中のチャンピオンで、あなたがwikiを紹介したグループの一つの誰かから尋ねられたとします:
「私たちのwikiは頻繁に利用されています。しばらくして、これは散らかった状態になってきて、大がかりなクリーンアップを必要としています - どうやってこれを改善すればよいでしょう?」
チームメンバーが定例会(おそらく週に一回)の一つをWikiの小人として作業するのに充てるよう提案します。各ページが水準に達していることを確実にする、Wikiの小人あるいはメンテナーのヘッドを務める意思のあるボランティアを探すのも、グループの役に立つかもしれません。
関連するパターン
- チャンピオン - wikiの小人はチャンピオンでもありうるでしょう。しかしほとんどの場合彼らの役割は分かれています。チャンピオンはwikiを体系化された状態に移行させ、小人は一度そうなってからの改善を助けます。
- Wikiのトロル (アンチパターン) - Wikiの小人は建設的ですが、Wikiのトロルは破壊的です。
- メンテナー - これは秘書、リファクタ実施者、または運動員のように活動することで、セクション、ページまたはスペースの一定水準の品質を維持するのに専念する人です。
さらに読む
「小人さん」「こびとさん」という語で日本のWiki界隈(あるいは僕の観測範囲)では親しまれているので、訳語には迷いました。結局、原語に「Wiki」と入っていることを尊重して「Wikiの」で始めることにし、「Wikiの小人さん」とすると長くて口にした時にちょっと重いのと、「WikiTroll」などの訳語を考えた時のバランスから、「Wikiの小人」としました。
でも、間違いなく「Wikiの小人」は僕らが愛する「こびとさん」です。
WikiPatternの一つ、「90-9-1の法則」を日本語訳しました。原文は「90-9-1 Theory」です。Wikiでもソーシャルメディアへの参加比率の「90-9-1」の傾向は見られますが、この割合は改善できる、というものです。
最新の日本語訳はwikipatterns.comで確認してください。
これは何?
90-9-1の法則はwiki参加者のパーセンテージを説明するもので、これをブレイクダウンすると、Wikiの参加者全体の中では読者が最も高いパーセンテージになり、小さな投稿をする人が9パーセントを構成し、そして熱狂的で活発な貢献者が1パーセントを構成するというものです。
Jakob NielsenはParticipation Inequality: Encouraging More Users to Contributeと題する彼の記事で、ユーザの貢献に頼るオンラインのマルチユーザコミュニティのほとんどに影響を及ぼす現象を調査しています。Participation Inequality(参加の不均衡)は大半のユーザが(せいぜい)ごくわずかな参加をするだけで、コミュニティの数人のメンバーがコンテントと活動の非常に不釣り合いに大きな割合を占めているという傾向です。
研究によれば、ユーザの参加は全般に90-9-1ルールに従っていました:
- 90%のユーザは「lurkers」(すなわち、彼らは読むかブラウズするけれど投稿はしない)です。
- 9%のユーザはときどき投稿をしますが、しかし彼らの時間は他の優先事項が占めています。
- 1%のユーザはきわめて頻繁に参加し、投稿の大半を占めます。
使い方
wikiの成功は投稿を基礎にしているのですから、このコンセプトはwikiの環境に非常に当てはまります。こうした種類の人間の振舞いに打ち勝つことは不可能ですが、参加の比率を変えることは可能です(つまり、80-16-4、80%が読むだけの人、16%が多少の投稿をし、4%が大半の投稿をというように)。wikiへの参加を均等化する方法には、以下が含まれます:
- 投稿を容易にします。wikiヘルプセンター、チュートリアル情報、そしてリソースをユーザに提供することは、ユーザを環境に慣れ親しませ、投稿をより快適なものに感じさせるでしょう。
- 作成以上に編集を奨励します。ほとんどの新しいユーザにとって、真っ白なブランクページのことを考えるのは恐ろしいことです。ユーザが自分たちですべてを思いつく必要はなく、代わりにテンプレートや例を提供することでし、それらを彼らが自身のコンテントに合うようにリフォーマットできるようにします。
- 参加に報いましょう。貢献者を特定し、小さなインセンティブ(personal spacesのgold starやSunのフォーラムのDuke Stars
といった)を使って彼らに報酬を与えます。
例
いくつかのwikiの例は、このようなパーセンテージの分散を示していますが、しかし上の説明のように、ベストプラクティスはたしかに参加のパーセンテージを動かせることを示しています。2つのパーセンテージの例があります。
Wikipedia。Aaron SwartzによるWikipediaの記事Who Writes Wikipediaは、Jimbo WalesのWikipediaについての「全体の50%以上の記事がわずか0.7%のユーザ...524人の人たちが編集したものだ」という主張について議論しています。しかし一方で、Aaron Swartzは彼が研究から見出したこのような話を記しています:
「これら全てをあわせると、話はハッキリしてくる: ある部外者がまとまった情報をひとつ追加して、中の人は何回かの編集でそれを調整、整形しているんだ。中の人はそれに加え、大量の編集を積みあげてサイト全体にまたがった分野名の変更などをする。こうした類の事に中の人は深く気を配っているんだ。結果として大半の編集は中の人で占められることになる。でもほぼ全てのコンテンツを提供しているのは部外者なんだ。」MSDNコミュニティのコンテント。厳密にはwikiではありませんが、Microsoft Developer Networkにはwikiのようなコミュニティコンテントの特徴があります。2007年12月20日現在 http://msdn2.microsoft.com/en-us/library/default.aspx 上のサイドバーによると、10,851回の総編集のうち1,866回の編集がトップ5の投稿者(そのうち3人はマイクロソフトの従業員)です。このパーセンテージは1パーセントよりわずかに高い1.72%です。
「90-9-1の法則」あるいは「90-10-1の法則」については、過去にちょっと踏み込んで「90-10-1の法則を超えるソーシャルメディア」というエントリを書いたことがありました。ちょっと思い入れのあるテーマだったので、最初にこれを訳してみました。
ちょっと前からですが、WikiPatternsの日本語訳を始めました。
書籍のWikipatternsではなくて、この書籍の著者がCreative Commons(CC-by-NC)で運営しているWikiPatterns.comの方。誰が始めたということもなく(強いて言えば最初にやってみたnaokis)わらわらと始めて、Sean_SFが日本語トップページを作ってくれて、てんでにお気に入りのパターンを訳している感じ。
各パターンは「あるある」と言いたくなったり、「こうありたいな」とぼやきたくなるような、まさにパターンランゲージ的な「パターン」が簡潔にまとめられています。訳しててなかなか面白いので、「訳しました」報告を兼ねて、私の訳したものをこのブログで紹介してみようかな、と思います。
WikiPatternsの日本語訳は、参加資格とか日本語訳コミュニティとかがあるわけではなくて、やろうと思ったらすぐにやるだけの活動です。どう作業すればよいのかは、Sean_SFさんが「『wikipatterns 日本語』の作り方」としてまとめてくれています。お気に入りのパターン、気になっているパターンがあったら、日本語訳に参加してみませんか?