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大体すでに皆様が訳しておられたので、「Wikiの小人」パターン的に以下の作業を行いました。
- 日本語ページ - 英語ページ間のリンクがないものはリンクを張る。
- 日本語ページ→(日本語訳済みの)英語ページのリンクは、日本語ページへのリンクに改める。
- 未訳のごく一部のページを日本語訳する。
- その他、各種の“草取り”。
具体的に作業した対象ページは画像参照。People Patternの英語版、日本語版の全パターンを見て行ったのですが、修正箇所はこれぐらい、作業時間もこれぐらい、という感じ。
WikiPatterns.comの日本語訳には何人かの方が参加されていて、特に「ここから順番に訳していこう」ということはなかったのですが、私個人はまずPeople Patternに作業を集中していました。あるパターンを訳したところで、それが参照しているパターンを辿ると、それもPeople Patternということが多かったので、わりと自然にそうなった面もあります。この連休前に大半の項目が訳されていたので、ちょっとまとめて時間を割いて、いわゆる“Wikiのガーデニング”をしてみました。
People Patternにはそのカテゴリ名どおり「人々」に関わるパターンが集まっています。各パターンを読んでみて、自分のWikiではコミュニティを形成する「人」を育てるために何をしようか、と考えてみるのは、Wiki運営に役立つと思います。ぜひご活用を。そして誤訳などを見つけたら、ぜひWikiPatterns.comに「参加」して、草取りをお願いします!
先月、ガートナーが最新のハイプカーブを掲載したプレスリリースを出した。多くの人が取り上げているし、私もTumblrにポストしたし、第1回アトラシアンユーザ会(つまりConfuluenceとJIRAのユーザ会)でもISIDの杉浦氏が取り上げていた。すでにご覧になっている方は多いと思う。
このハイプカーブで、Wikiについて少なくとも3つの指摘がされている。
- Wikiは過度な期待の「ピーク期」とそれがはじけた「幻滅期」を越えて、地に足の着いた活用へと進む啓蒙活動期に入った。(図1のカーブ上の位置より)
- Wikiの主流での採用までには、2~5年かかる。(図1のWikiを示すポイントの色より)
- 主流での採用≒生産性の安定期に達するには、Wikiは「メソドロジ(方法論)とベストプラクティスの発展」と「第3世代製品、即時展開可能な製品スィート(の提供)」へ向かわなければならない(図2より)
もちろん方法論というのは浅いハウツーではなく、経営思想とWiki思想の寄り添うところを実務に落とし込んだ方法論で、江渡さんの上梓された「パターン、Wiki、XP」はWiki思想を紐解くという意味で大きい。また洋書でアトラシアンの社員であったStewart Mader氏による「WikiPatterns」が出ているが、こちらは現時点でのベストプラクティス集である。実際に、Wikiの世界はこの「メソドロジとベストプラクティスの発展」へ、すでに動き始めていたことが感じられる。
「第3世代製品、即時展開可能な製品スィート」では、第二世代製品群の淘汰を生き残ったConfluenceやSocialtextに加え、マイクロソフトのSharePoint ServerやIBMのLotus ConnectionsがWiki機能を統合してきている。ハイプカーブから「滑り落ちる」テクノロジはいくつもあるが、啓蒙活動期の初めにあるWikiは、啓蒙活動期の終わりに達するべきマイルストンに向けて進むべき道を歩んでいる。
●
WikiPatternsはStewart Mader氏がWikiPatterns.comというサイトで収集、整理したパターンを元とするもので、先日来このブログなどでも触れているように同サイト上で各パターンの日本語訳が進められている。私も(このブログでの報告がぜんぜん追いついていないが)90-9-1の法則、 IDの重要性、WikiZenマスター、 Wikiの小人、チャンピオン、ページメンテナー、メンテナー、上棟式、口コミ、大使、 後援者(またはスポンサー)、良いことへの謝意、観客、貢献者、Wikiのトロルとこれまで15パターンを訳した。
私事を言うと、昨年までいたCrossbaチームから一時的にVMwareなどの仮想化チームに移り、そちらの活動に専念していたのだが、どうもこの一時的に(と言われた)というのは、半年や一年では済まなそうな感じになってきた。それが分ってきたこの2009Q3からは、また昔のように17時までは仮想化技術者(昔だったらERP技術者)、17時からはWikiとWebの個人活動家という二重生活に戻りたいと思う。
なんと言っても、Wikiの「ハウツーではなくメソドロジ」がずっと気になっていたところであり、Wiki界隈全体がそこに取り組む時期にいるのだから、2、3年は待てない。
It has a forms based authoring capability that doesn't require familiarity with html.
WikiPatternの一つ、「WikiZenマスター」を日本語訳しました。原文は「WikiZenMaster」です。WikiZenマスターはいわゆる「こびとさん」のスタイルの一つで、見出しや図表の追加、段落の分割といった読みやすさ、体裁にフォーカスしたこまやかな貢献をする人たちを指します。
最新の日本語訳はwikipatterns.comで確認してください。
これは何?
WikiZenマスターはwikiがより視覚的にアピールするように形式の変更を行います。
(WikiZenマスターは時々WikiFairyと呼ばれます。)使い方
WikiZenマスターは、このツールを使いたくなる魅力あるものにし、内容をクリアで使いやすいものにし、そのwikiでの形式と体系化をより高い水準で保つことで、wikiの小人と同様にwiki上のコンテンツに価値を加えます。
例
WikiZenマスターはきっと
- タイトルやセクション見出しを追加し、ページをより体系化します。
- 画像や図表を追加し、wikiページの内容を図解したり、複雑なプロセスを明快にするといったことをします。
- 参考文献一覧に挙げられた本のカバーの画像を追加します。
- さまざまな貢献者の画像をwikiに追加します。
- テキストがより読みやすくなるように段落を分割します。
関連するパターン
- Wikiの小人 - Wikiの小人とWikiZenマスターは、どちらもwikiを改善するという、よく似た個性を持っています。WikiZenマスターが形式の改善に焦点を当てているのに対して、Wikiの小人は内容の改善に焦点を充てています。
- メンテナー - しばしばWikiZenマスターとメンテナーは同一人物です。
さらに読む
WikiZenマスターも「こびとさん」同様、第七回Wikiばなで「Wikizensアパート」などという話をした引っ掛かりで、訳に参加しておきたいと思っていました。
このWikizenという言葉は、WikiWikiWebで参加者を「WikiZens(=Wiki+Citizens)」、Wikiの市民といったニュアンスで呼んだことによる語です。ただし、WikiWikiWebには「WikiZen」というページがあって、「なぜZを大文字にするかと言えば東洋思想“Zen”を強調するためだ」などと書かれています。
WikiZensには「両者を混同しないように」と書かれていますが、WikipatternsのWikiZenMasterでいう「WikiZen」には、この「Wiki思想」的なニュアンスも強く含まれているように思えます。
WikiPatternの一つ、「後援者(またはスポンサー)」を日本語訳しました。原文は「Patron (or Sponsor)」です。ここでいう後援者(またはスポンサー)とは権威者、有識者、職場や組織の上位者、業界の著名人などで、彼ら自身は活動に参加してくれないにせよ、彼らの賛同を取り付けることは他の人たちを活動に巻き込む時に良い効果があると言います。
最新の日本語訳はwikipatterns.comで確認してください。
これは何?
Wikiを支持する高位の後援者を持つことで、成功の見通しを高めうるだけのレベルの権威が提供されます。
使い方
時には、組織内の高位の人物がwikiプロジェクトを開始します。より多くの場合には、取り組みは下部から生まれますが、高位の人物のサポートが求められます。後援者は、彼らがプロジェクトを支持していることを知らしめることで、他者を巻き込み、リソースがこのプロジェクトに割り当てられることへの承認を与えます。
パトロンは、ITリソースのコントロールと組織のユニット間での競争がある面で参加に水を差しかねない企業の環境では、特に重要です。
例
CEO(最高経営責任者)とすでに面識のある従業員は、Wikiのもたらす利益について説明し、おそらく組織内で稼動しているシステムのデモンストレーションをします。CEOはこのアイデアに同意し、この従業員に継続するよう促します。CEOは「同意を与える」ことで取り組みへの後援者になります。CEOはwikiの使用を支持していると知られることを許す以上の関わりはまったく持とうとしないかもしれません。最初の従業員は、CEOがこれを良いアイデアだと考えていると説明することで、他の人々に参加を奨励することができます。
Related Patterns
- チャンピオン: 後援者/スポンサーは単にwikiに賛成しますが、チャンピオンはエネルギッシュにこの実現と導入のプロセスを推進します。
WikiPatterns.comの日本語訳はまだ端緒に就いたばかりの活動ですが、WikiWayの訳者として知られるyomoyomoさんが人気ブログ「YAMDAS現更新履歴」のエントリ「WikiPatternsの日本語訳」で紹介してくれました。この有意義な活動に、あなたも参加してみませんか?
...とこういう感じでしょうか。活動の公正さと意義を示唆(保障ではない)してもらうことで、参加へのバリアを弱め、時には動機づけてもらうわけです。本文中に「企業の環境では、特に」とあるのは、その活動に参加していることを評価されたいというより、まず何らかのマイナスに働くことはないだろうという心証が必要なのだと思います。
WikiPatternの一つ、「Wikiの小人」を日本語訳しました。原文は「WikiGnome」です。「小人さん」とも呼ばれるWikiの小人は、既存コンテンツの細々とした改善に活躍してくれる、しばしば匿名の人たちのことです。
WikiPatternsでは、形式の改善にフォーカスしたWikiZenマスターと内容の改善にフォーカスしたWikiの小人、あるページ(群)に対して責任を持とうとするメンテナーとそうした重み/重しのないWikiの小人、Wikiに体系化をもたらすチャンピオンと体系の維持に寄与するWikiの小人というように、一般に「小人さん」と総称されている役割を、個別に呼び分けているようです。
これは何?
Wikiの小人(WikiGnome)は総合的な品質を絶えず向上させるための小さな編集をwikiに実行する人です。
(Wikiの小人はしばしばWikiGardenerとしても知られています)
彼らの編集は他のみんなのコンテンツの価値を高めてくれるので、Wikiの小人はWikiの成功にとって重要です。例えば:
- 体裁を整える編集によってwikiを「雑草」(タイポ、綴りの間違い、文と段落の構造化が不十分)がはびこることから守ります。
- リンクの追加や修正をし、wiki内で確実に関連コンテントにナビゲートできるようにします。
- 内容の流れと明快さを改善し、文章の読みやすさを改善します。
- 例を設置することで、他のユーザーにいつ、どのようにwikiを使うべきかを示します。
使い方
Wikiの小人には自分で選択してなる傾向があります。彼らは細部への心遣いを大事だと思い、乱雑さに気分を害しており、継続的にwikiの品質を高めるのに必要な小さな編集を行おうとする人たちです。
ではもし彼らを見つけ出すことができなければ、どうやって小人さん的な振舞いを増やせるでしょうか?
- 誰かが小さな、体裁を良くする編集をしているのを見かけた時は - 彼らを後押しします。
- 誰かがあなたの小さな間違いについてemailで教えてくれたら - 彼ら自身で直す方法を見せます。
- あなたのwiki上で、ページの編集方法が明白になっているか、確かめます。
- あなたの周りの人たちに、だれがどのページを編集(追記)することにもバリアはないと確実に理解させます。(Wikipediaでは「大胆であれ(Be Bold)」というマントラで示されています)
彼らは、Wikiのトロル(巨人)とは正反対です。Wikiのトロルは、一般に強い物議を醸すようなコンテントを投稿したり破壊的なこと、例えば誰かの編集を削除するといったことを行ってコミュニティからの反応を得ようとします。これは、ユーザーが匿名ではなく、ユーザーと彼らの編集が関連付けられている環境ではめったに起こりません。
例
もしあなたが組織の中のチャンピオンで、あなたがwikiを紹介したグループの一つの誰かから尋ねられたとします:
「私たちのwikiは頻繁に利用されています。しばらくして、これは散らかった状態になってきて、大がかりなクリーンアップを必要としています - どうやってこれを改善すればよいでしょう?」
チームメンバーが定例会(おそらく週に一回)の一つをWikiの小人として作業するのに充てるよう提案します。各ページが水準に達していることを確実にする、Wikiの小人あるいはメンテナーのヘッドを務める意思のあるボランティアを探すのも、グループの役に立つかもしれません。
関連するパターン
- チャンピオン - wikiの小人はチャンピオンでもありうるでしょう。しかしほとんどの場合彼らの役割は分かれています。チャンピオンはwikiを体系化された状態に移行させ、小人は一度そうなってからの改善を助けます。
- Wikiのトロル (アンチパターン) - Wikiの小人は建設的ですが、Wikiのトロルは破壊的です。
- メンテナー - これは秘書、リファクタ実施者、または運動員のように活動することで、セクション、ページまたはスペースの一定水準の品質を維持するのに専念する人です。
さらに読む
「小人さん」「こびとさん」という語で日本のWiki界隈(あるいは僕の観測範囲)では親しまれているので、訳語には迷いました。結局、原語に「Wiki」と入っていることを尊重して「Wikiの」で始めることにし、「Wikiの小人さん」とすると長くて口にした時にちょっと重いのと、「WikiTroll」などの訳語を考えた時のバランスから、「Wikiの小人」としました。
でも、間違いなく「Wikiの小人」は僕らが愛する「こびとさん」です。
WikiPatternの一つ、「90-9-1の法則」を日本語訳しました。原文は「90-9-1 Theory」です。Wikiでもソーシャルメディアへの参加比率の「90-9-1」の傾向は見られますが、この割合は改善できる、というものです。
最新の日本語訳はwikipatterns.comで確認してください。
これは何?
90-9-1の法則はwiki参加者のパーセンテージを説明するもので、これをブレイクダウンすると、Wikiの参加者全体の中では読者が最も高いパーセンテージになり、小さな投稿をする人が9パーセントを構成し、そして熱狂的で活発な貢献者が1パーセントを構成するというものです。
Jakob NielsenはParticipation Inequality: Encouraging More Users to Contributeと題する彼の記事で、ユーザの貢献に頼るオンラインのマルチユーザコミュニティのほとんどに影響を及ぼす現象を調査しています。Participation Inequality(参加の不均衡)は大半のユーザが(せいぜい)ごくわずかな参加をするだけで、コミュニティの数人のメンバーがコンテントと活動の非常に不釣り合いに大きな割合を占めているという傾向です。
研究によれば、ユーザの参加は全般に90-9-1ルールに従っていました:
- 90%のユーザは「lurkers」(すなわち、彼らは読むかブラウズするけれど投稿はしない)です。
- 9%のユーザはときどき投稿をしますが、しかし彼らの時間は他の優先事項が占めています。
- 1%のユーザはきわめて頻繁に参加し、投稿の大半を占めます。
使い方
wikiの成功は投稿を基礎にしているのですから、このコンセプトはwikiの環境に非常に当てはまります。こうした種類の人間の振舞いに打ち勝つことは不可能ですが、参加の比率を変えることは可能です(つまり、80-16-4、80%が読むだけの人、16%が多少の投稿をし、4%が大半の投稿をというように)。wikiへの参加を均等化する方法には、以下が含まれます:
- 投稿を容易にします。wikiヘルプセンター、チュートリアル情報、そしてリソースをユーザに提供することは、ユーザを環境に慣れ親しませ、投稿をより快適なものに感じさせるでしょう。
- 作成以上に編集を奨励します。ほとんどの新しいユーザにとって、真っ白なブランクページのことを考えるのは恐ろしいことです。ユーザが自分たちですべてを思いつく必要はなく、代わりにテンプレートや例を提供することでし、それらを彼らが自身のコンテントに合うようにリフォーマットできるようにします。
- 参加に報いましょう。貢献者を特定し、小さなインセンティブ(personal spacesのgold starやSunのフォーラムのDuke Stars
といった)を使って彼らに報酬を与えます。
例
いくつかのwikiの例は、このようなパーセンテージの分散を示していますが、しかし上の説明のように、ベストプラクティスはたしかに参加のパーセンテージを動かせることを示しています。2つのパーセンテージの例があります。
Wikipedia。Aaron SwartzによるWikipediaの記事Who Writes Wikipediaは、Jimbo WalesのWikipediaについての「全体の50%以上の記事がわずか0.7%のユーザ...524人の人たちが編集したものだ」という主張について議論しています。しかし一方で、Aaron Swartzは彼が研究から見出したこのような話を記しています:
「これら全てをあわせると、話はハッキリしてくる: ある部外者がまとまった情報をひとつ追加して、中の人は何回かの編集でそれを調整、整形しているんだ。中の人はそれに加え、大量の編集を積みあげてサイト全体にまたがった分野名の変更などをする。こうした類の事に中の人は深く気を配っているんだ。結果として大半の編集は中の人で占められることになる。でもほぼ全てのコンテンツを提供しているのは部外者なんだ。」MSDNコミュニティのコンテント。厳密にはwikiではありませんが、Microsoft Developer Networkにはwikiのようなコミュニティコンテントの特徴があります。2007年12月20日現在 http://msdn2.microsoft.com/en-us/library/default.aspx 上のサイドバーによると、10,851回の総編集のうち1,866回の編集がトップ5の投稿者(そのうち3人はマイクロソフトの従業員)です。このパーセンテージは1パーセントよりわずかに高い1.72%です。
「90-9-1の法則」あるいは「90-10-1の法則」については、過去にちょっと踏み込んで「90-10-1の法則を超えるソーシャルメディア」というエントリを書いたことがありました。ちょっと思い入れのあるテーマだったので、最初にこれを訳してみました。
ちょっと前からですが、WikiPatternsの日本語訳を始めました。
書籍のWikipatternsではなくて、この書籍の著者がCreative Commons(CC-by-NC)で運営しているWikiPatterns.comの方。誰が始めたということもなく(強いて言えば最初にやってみたnaokis)わらわらと始めて、Sean_SFが日本語トップページを作ってくれて、てんでにお気に入りのパターンを訳している感じ。
各パターンは「あるある」と言いたくなったり、「こうありたいな」とぼやきたくなるような、まさにパターンランゲージ的な「パターン」が簡潔にまとめられています。訳しててなかなか面白いので、「訳しました」報告を兼ねて、私の訳したものをこのブログで紹介してみようかな、と思います。
WikiPatternsの日本語訳は、参加資格とか日本語訳コミュニティとかがあるわけではなくて、やろうと思ったらすぐにやるだけの活動です。どう作業すればよいのかは、Sean_SFさんが「『wikipatterns 日本語』の作り方」としてまとめてくれています。お気に入りのパターン、気になっているパターンがあったら、日本語訳に参加してみませんか?
ウィキペディアがライセンス条項をGFDLから変更しようとしている。yomoyomoさんがこう書いている。
既にニュースサイトでも伝えられているが、Wikipedia のライセンスに CC by-sa を採用するかどうかの投票結果が出た。実はこの後財団理事会の決議がまだあるのだが、ここまで来たらもう決まりと言ってよいだろう。
賛成76%という結果は、およそ一年半前にその道筋がついた時点で予想したよりも賛成が多い印象である。それだけ GFDL が好かれてなかったのか。
最近のクリエイティブ・コモンズのライセンス周りの話題 - YAMDAS現更新履歴
ここでひとつ告白しておくと、僕は非常に法律やライセンスに蒙い人間だ。だからライセンスの良し悪しについてはyomoyomoさんや八田さんのようには語れないし、一方で好き嫌いのレベルでは思うことがある。
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採用が見込まれているCC by-sa、クリエイティブ・コモンズ「表示・継承」のページには、次のように書かれている。
これは一般の方に読みやすいようにした利用許諾条項の要約です。
Creative Commons Attribution-Share Alike 2.1 Japan
実はこのページは、利用許諾条項そのものではなくて、利用許諾条項の重要な一部分を平易に説明した「コモンズ証」というページ。このページに見られる、Creative Commonsの以下2点を、僕はとても大切なことなんじゃないかと思っている。
- 公式に日本語でライセンス条項が発行されている。「正式版は英語です」などという但し書きにおびえて、英語の原文を読まなくていい。
- 公式に平易なバージョン「コモンズ証」が作成されている。私的解説の「筆者の解釈によるものであり」などという但し書きにおびえて、詳細確認の必要のないうちから利用許諾条項に目を通さなくていい。
実生活において僕は(おそらく僕以外の多くの人も)、コモンズ証レベルの法律理解に基づいて暮らしていて、何も六法全書を諳んじてはいない。正直に言えば僕は、六法全書を通読したこともないし、実は持ってもいない。それでもたぶん法に反したことはせずに暮らしているし、社会と折り合いをつく範囲で楽しくやれてる。
「日本語」の「コモンズ証」があることは、僕に実生活と同じ程度の善意と順法意識だけで、クリエイティブ・コモンズライセンス採用サイトでよく振舞うことができるようにしてくれる。
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統計ページによれば日本語版だけで3万5千近いユーザー登録した編集者を誇るウィキペディアが、GFDLへの共感を醸成するでもなしに、GFDLの理解と厳守を強要しているように見えたのは、僕にはちょっとムリのあることをしているなと感じられた。
3万5千人(そしておそらくはもっとたくさんいるIPユーザ全員)に「悪いことしちゃダメよー」ぐらいならともかく、「ちゃんと規約読んでねー、細かいこといっぱい書いてあるから守ってねー、英語だけど誤読しないでねー」というのは、どうかと思ったんだ。もうちょっとライセンス策定者かライセンス採用サイトが、利用者が簡単に違反せずにいられる仕組みを持ったらいいと思うけど、GFDLはそうしていなかったと思うし、ウィキペディアもそれはできていなかったと思う。
みんなが簡単に「よく振舞う」ことができないようなルールは、あまり好きじゃない。そういう意味では、「GFDLとウィキペディア」という組み合わせはちょっと嫌い。「クリエイティブ・コモンズとウィキペディア」の組み合わせは、日本語版コモンズ証のようなものがあるというだけで、ちょっと好き。
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改めて、僕は非常に法律やライセンスに蒙い人間だ、と書いておく。とんでもない誤解とか偏見に基づいてこう書いているかもしれない。GFDLとかウィキペディアもいろいろがんばっているのかもしれない。ただ、気持ちのところではたぶんみんなと同じことを思っていて、その上でCC by-saの採用を好きだと言えていると思う。
ウィキペディアが、もっと気軽に、気持ちよく付き合えるサイトになってくれればいいな。そう思う。
IBMのdeveloperWorksに「企業ウィキにシグネチャを」という記事3本を寄稿しました。長すぎるので3本に分割、でも話が分かれていな過ぎるので一挙掲載、というわがままを聞いていただき、昨日まとめて公開されました。
本日、下記の企業内 Wiki に焦点を当ててシグネチャの重要性を説いた日本独自記事3本を公開しました。
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 1 回 ウィキサイトの規模不足を考える
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 2 回 シグネチャによるウィキへの参加動機の強化
- 企業内ウィキにシグネチャを: 第 3 回 企業内ウィキでのシグネチャの役割
第1回では、一般的なウィキサイトの規模感と、規模の必要性、特にコンテンツ量とコンテンツ作成・更新への参加者数の必要性を説明します。続く第2回では、一般的なウィキへの参加動機を探り、参加動機の強化のためにシグネチャの明示を導入することを提案します。最後に第3回では、企業内ウィキに焦点をあててシグネチャの必要性を再確認し、同時に参加動機付けの他にもシグネチャを導入することに価値があることを見ていきます。
(「企業内ウィキにシグネチャを」シリーズの公開 - developerWorks Japan 編集長のブログ)
まず今回の恩人にお礼を。「Wikiばな」スターターのshinoさんは今回、「明後日までに50KBのテキストを読んでコメントくれる人」という私の無茶な呼びかけに答えてくれ、非常に文章をきれいにしてくれました。もし今回の文章が読みやすかったとすれば、shinoさんのリライトのおかげです。
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それからこの記事に至るまでの3年ほどについて。
2007年8月にenNetforumで講演をし、その資料を公開しましたが、その際に「社内Wikiについては昨年の春から検討をはじめて、早1年半になります」と書きました。実を言えば2006年春に、技術評論社さんから企業ウィキについての本という企画をいただいたのですが、Wikiプログラマの私には「社員にとってのウィキ」は書け、「IT管理者にとってのウィキ」は1年かけてなんとかまとめてここまでを講演で発表しました。
しかし、それでも「企業にとってのウィキ」は理解できないまま、筆を進められませんでした。ここのギャップは「使いたい人だけが使いたいように使うウィキ」「使いたい人には使わせてあげるウィキ」という許容、放任から「ウィキを使う動機付けをする」「ウィキから創発を導き出す」といった推奨、活用へ、ウィキ提供者が積極的な意思を持つことにあるのだと思います。そして私にそちら側の視点を想像することもできなかったのだと思います。
その後Wiki小話で意見を聴き、直前のBusiness Blog & SNS World '07、特にIBMの森島氏の講演(今回資料の一部を転載させてもらいました)、みずほ情報総研の佐藤氏の講演などを入口にEnterprise 2.0というテーマについて勉強をはじめ、動機付けという一面についてwikipedia.silube.comというサイトを作ってみたりこうして文章を発表したリ、というところにたどりつきました。やっと、再スタートを切れたという感じです。
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「企業ウィキ」というのは、十分に大きく、エキサイティングで、最後まで考え抜きたいテーマです。企画は賞味期限切れにしてしまったと思い、それについては申し訳ない思いでいっぱいなのですが、このテーマを与えてくれた技術評論社の馮さんにも感謝を。
そしてBBSNS07開催者、講演者、WikiばなやWiki小話参加者、enNetforumフォーラム(現EGMフォーラム)各位、2006年~2007年当時に取材をさせてくださった各社の方々、Enterprise2.0の実地を与えてくれたOKIのCrossba(立ち上げから今日までの)関係者各位にも感謝を。
本当に、ありがとうございました。